とてもシンプルな精神病のお話

水槽にきれいな水を入れて、淡水魚を育てているとしましょう。そこに汚染した土を一握り入れます。そうすると、あっという間に魚は死んでしまいます。どうして魚は死んだのでしょうか。

汚染した土に含まれている毒性物質が作用したからでしょうか。それとも、泥が魚のえらを塞いでしまったからでしょうか。科学者たちは魚の死んだ原因を明らかにするために、多くの時間、費用、エネルギ-を消費して、汚染した土と魚の組織を調査します。

しかし、魚の死んだ原因は生物、生化学的に一つの問題ではありません。どうすれば、魚が健康に育つでしょうか。当然、汚染した土を入れなければいいでしょう。私たちはとても簡単な問題を、ミクロ的な観点から科学的に考えようとします。

現代医学の薬物療法がこれと似ていると思いませんか。体を構成している細胞は、すべて水と酸素、栄養素からできています。これらは細胞の機能を維持するために使われ、そのバランスが細胞の生存環境を清浄に維持しています。もし、病気になったら、酸素と水、栄養素のバランスをチェックし、細胞の生存環境をきれいにすれば、体の中で一番よい治療剤ができます。これが、マクロな観点から見た総合治療法です。

私たちは精神病に対して、難しいと思っているようです。Eden療法から見ると、精神病は難病ではありません。常識のレベルから、もう少し考えてみれば、精神病も風邪に引いたことと同じように理解できます。

まず、脳について勉強しましょう。

脳 

人の脳の重さは約1.3kgで、男性は平均1.35kg、女性は平均1.25kgです。そして、その細胞の数は1000億もあります。 

脳の解剖学的構造と機能

脳の構造は複雑で、解剖学的用語も非常に多いですが、基本的に次の4つに分けられます。

①脳幹(brain stem)

脊髄と直接につながっている部分ですが、生命の営みには非常に大切な役割を果たしています。爬虫類の脳と似ているので、「爬虫類の脳」とも呼ばれています。心臓の血液循環と、肺の呼吸運動をつかさどっている延髄のある部分です。延髄は中枢神経の一部で、心臓の搏動と肺の呼吸の自律的機能を調節しています。

②脳下垂体と間脳(limbic system) 

脳幹の上側にある小さな複合体で、脳下垂体や間脳があります。脳下垂体は発育・生殖に関係するホルモンを分泌しています。また、間脳は視床下部よって占められていますが、この視床下部には知覚神経が纏まっており、知覚センターのようになっています。脳下垂体や間脳の部分は、体内における化学的信号であるホルモンの作用や、知覚神経の興奮などによって、食欲、性欲、眠気などを調節します。

③大脳(cerebrum) 

大脳は頭蓋骨内の大部分を占めています。この大脳の表面を形成している灰白色の部分が大脳皮質ですが、これは感覚・意識の中枢として働いています。また、大脳は左脳と右脳に分かれており、左脳は理性的、時間的、直接的、現実的、功利的な機能を、右脳は感性的、空間的、間接的、空想的、理想的な機能に決まっています。このような機能は、バランスをとり、調和を保つようにコントロールされています。

小脳

小脳は、精密な運動機能を調節する主要な中枢であり、体の姿勢やバランス、骨格筋の緊張、視覚・聴覚・体性感覚のフィードバック機能を調節しています。

脳神経の細胞の独立的な特性

①酸素の消費量

脳は体重の約60分の1にあたりますが、体内に吸い込んだ酸素の20%も使います。例えば、体重が90kgの人なら、約1.5kgの小器官が、酸素の20%を消費してしまうのです。これは体が必要とする必需栄養素全体の20%を消費するということになります。もし、過度のストレスにさらされれば、酸素消費はどんどん増えてしまいます。興奮、緊張した後、後頭部が痛くなったり、頭がぼうっとしたり、めまいがしたりした経験はありませんか。これは、脳細胞が大量に酸素と栄養素を消費した結果だと考えられています。

しかし、現代医学は脳神経の病気である精神病を治療するのに脳の酸素の消費量に対した必須栄養素の消費量を無視しています。

②脳神経の細胞ー特異性栄養素の要求

脳細胞はエネルギー源として、たった1つの栄養素を使います。それは葡萄糖です。脳細胞は清浄なエネルギー源と言われいる葡萄糖だけ消費するのです。葡萄糖を使いしながら、同時に酸素と水、必需栄養素も消費しています。脳細胞が消費して、足りなし酸素と水は、ただちに補充できますが、必需栄養素はすぐ補充できないので、一時的に必需栄養素不足を起こします。これが長期にわたってひどくなると、栄養減少症click)になってしまいます。

精神的な疾病の多くは、脳細胞の中、葡萄糖と蛋白質の代謝に必要な補助的な必需栄養素減少症にその原因があります。(科学者たちはこれを無視して、細胞に発生した生科学的な異常を代謝障害説、免疫説、アレルギ説、ウイルス説と主張しています。

栄養素減少症は脳細胞の機能、神経回路網の信号伝達を低下させます。脳細胞に必要する栄養素は、葡萄糖、蛋白質、脂肪の代謝に必要な物質に分類します。これらの必需栄養素は、同じ物もありますが、ほとんどは代謝機能によって違います。だから、精神病の予防や治療に、必需栄養素が使れます。これがeden療法のポイントです。

③脳神経細胞の独立的な運営システム

脳細胞にはリンパ腺がありません。これは免疫体系が異なっているという意味です。脳細胞は自分に必要のない異物、たとえ同じホルモンであっても、他の場所で生産されたホルモンは受け入れないように、バリアが張りめぐらされています。これが「脳血管バリア」です。脳細胞が神経系タンパク質を合成・分解したり、エネルギー源である葡萄糖を使ったりするには、それに応じた独自的な「特異栄養素」を選択的に使うと考えられています。

治療原理は精神病も胃腸病や皮膚病と同じ

細胞から見れば、精神病と皮膚病の治療原理は同じです。「本当に精神病を皮膚病と同じ原理で治療するのか。」と問い返す方がいるかもしれません。 

しかし、脳細胞も皮膚細胞も「細胞」という面では同じです。違いはそ構造で、脳細胞ははるかに細分化しているだけです。どちらも酸素と水、そして栄養素を使って、それぞれの細胞の遺伝子によって、特定の物質を作ったり、分解したりする働きは同じです。また、細胞が外部のシグナルを受けて反応する原理も、細胞が互いに信号を伝える原理も同じです。それだけではなく、環境によって、細胞は発達したり、その機能が下がったりします。脳細胞の機能低下による精神病も、細胞の機能低下によって起こる胃腸病や皮膚病と同じように考えられます。

例えば、話をしたり、何か食べたりする時、唾液腺から唾液が分泌されますが、このバランスを調整するのに、どんな異物が必要でしょうか。ただ、水と酸素、唾液の適度な分泌に必要な栄養素だけで十分です。それで、最高の洗淨剤と抗菌剤、さらに消化酵素を得ることができるのです。たとえ唾液腺に障害があったとしても、その細胞に酸素と水、栄養素を十分に供給すれば、細胞は自らに解毒作用を取り戻すものです。脳細胞も同じではないでしょうか。

ストレスと脳細胞の関係 

体の機能を調整する2本の軸は、ホルモンと自律神経です。これらが正常に働かない主な原因はストレスです。自律神経が正常に働かなければ、体の色んなところで機能障害が起こり、病気になります。だから、「原因がはっきり分からない病気は、たいていストレスによる」と言われます。 

現在は、誰もが複数のストレスを持っています。ストレスという言葉はよく使われる言葉ですが、ストレスとは、私たちを取り囲んでいる環境の変化によって生じるものです。ストレスには、精神的なものと物質的なものがあります。

例えば、病気になったり、けんかしたりといったマイナスの変化によるものと、クラスで一番になったとか、職場で昇進したなど、プラスの変化によるものがあります。とても大きい変化としては、失業、倒産、配偶者の死亡、また、買った株が高騰したり、新しい家を買って引っ越したりする生活環境の変化が、精神的なストレスです。 

物質的な変化とは、体内の細胞レベルにおける物質的環境変化のことを指していますが、例えば、過労や、お酒の飲みすぎ、激しい運動、また、けがで多量の出血、大量の汗、長期間にわたる偏食や毒性のある薬の服用などによって生じる物質的なストレスです。

このように体の外や内から生じるストレス、つまり、精神的、物質的にストレスがひどくなると、私たちの脳細胞や神経細胞、他の各組織や器官の細胞は、その物質環境が正常的な環境から非正常的な環境に変り、病気になってしまうのです。強い持続的なストレスにさらされたら、脳神経系細胞及び自律神経系細胞の物質環境が乱れて、信号伝達の障害を起こします。脳神経系細胞において信号伝達の障害は、各種精神病で現れます。

神経栄養素の摂取

栄養素を十分に摂取すると言われますが、最近の穀類や野菜、果物などは、豊富な堆肥で育てられているとは限らないようです。また、市場から多くの加工食品が出ていますが、これらは高カロリー食品が多く、エネルギーは十分ですが、必需栄養素が不足しています。だから、栄養剤を服用する必要があります。ただ、男性と女性、お年寄りと若者、生活習慣、病気などによって、その処方は違います。健康な人も、栄養素のバランスを維持していくために、複合栄養剤を選んで、適度に飲むことを勧めます。

神経栄養素減少症になると、体内の全ての器官や組織を支配する脳細胞の働きの中でも、最上位ホルモンを合成・分泌する機能が低下してしまいます。脳で合成・分泌されたホルモンは、さまざまな下位ホルモンを支配する総合的な働きをしています。つまり、最上位ホルモンの合成・分泌が良くできないと、そのホルモンが支配する器官・組織に障害が起こり、体に原因不明の病気が生じます。

結論的に、栄養素素減少症の原因はストレスだということです。まず、ストレスを解消しなければならないのですが、そのため、十分な必需栄養素をとることが大切です。次は十分な休息と睡眠、適度な運動です。もし、この順序を逆にして、熱心に運動したら、ますます必需栄養素が不足して、逆効果になってしまいます。

脳及び、神経細胞の信号伝達機能

脳細胞や神経系細胞の主な機能は、さまざまな情報や信号を体内の色んな組織や器官に伝えることです。また、脳神経細胞群は、それぞれの機能によって別の脳神経回路網を構成していますが、それだけではなく、これらの機能別神経回路網も互いに連絡して大きなネットワークを構成しています。

こうしたネットワークは、20世紀末に驚異的な発展をした生命科学と生化学(生物化学)、特に、細胞科学という分野から発見されたのですが、現在、そのメカニズムも知られています。

では、脳細胞、自律神経細胞、末梢神経細胞、末端の細胞の間で、いったいどういうふうに情報や信号がとり交わされているのか、簡単に紹介します。

2003年、ノーベル化学賞を受けたのは、ピーター・アグレ(Peter Agre)と、ローデリック・マッキンノン(Roderick MacKinnon)です。この二人は、細胞膜を水が通るチャンネル(water channel)とカリウムイオンが通過するチャンネル(potassium channel)との立体的な構造を明らかにしたことが認められて賞を受けました。

細胞膜に物質が出入りする過程の解明において、現代の生化学は驚くほど研究が進み、細胞膜で起こっている化学的な結合と解離についても、かなり知られています。さまざまなホルモンや神経伝達物質が、細胞膜にある水溶体分子(主に燐脂質分子)と化学的結合を行なうことによって、細胞内に信号を伝達することが分かりました。このような研究結果によって、末端の細胞と細胞の間にどのような情報や信号が伝われているかということも知られています。

①インスリンと糖尿病

糖尿病と深い関係のある重要なホルモン、インスリン分子についても、情報信号の伝達過程が詳しく解明されています。胃の中に食べ物が入ってくると、胃の粘膜のセンサー細胞が、炭水化物に含まれている葡萄糖濃度を化学的に計算して、膵臓にその数値情報を送ります。

実際、この過程はすでに実験を通じて証明されています。胃に粘膜から、この情報を受けた膵臓は、インスリン分子を分泌して、血液中に放出しますが、放出されたインスリン分子は、必要とされている肝細胞や筋肉細胞、または脂肪細胞などに赴いて作用し、自らの機能を果たします。インスリン分子が葡萄糖を処理するのですが、葡萄糖を処理する信号が、体内の細胞に伝わるためには、インスリン分子がその細胞の細胞膜に存在するインスリン水溶体と化学的結合する必要があります。この化学的結合が行い、葡萄糖も分解できるということです。

この過程の立体的構造は、すでに1970年から1980年にかけて、多くの生化学者によって明らかにされました。次々に、インスリン水溶体が何らかの原因で変質を受けている場合、インスリン分子はインスリン水溶体と化学的に結合できず、葡萄糖を分解することができないということが分かりました。胞膜のインスリン水溶体の変質が、インスリン分子との結合を阻んでいるので、この現象を「インスリン抵抗性」と呼ばれており、糖尿病学界では誰でも認めている理論なのです。

②細胞膜と情報信号伝達スイッチ

さまざまな脳神経伝達物質とホルモンの情報信号(体細胞でいえば「インスリン分子」に相当)とは、ニューロンとの接合部分(細胞膜)に存在する「シナブス」(インスリン水溶体)をはじめ、ニューロンに伝達されていると知られています。

このような研究結果に基づいて、神経細胞の情報信号伝達機能を簡単に説明すると、脳神経細胞の情報信号伝達体系には、それぞれの脳神経細胞に特有なスイッチ、つまり「シナブス」や「インスリン水溶体」などが存在しています。基本的なスイッチ、細胞膜に存在しています。

例えば、メラトニンというホルモンは、脳で作られている睡眠を促すホルモンですが、血液中に疲れ物質の濃度が増加したことにつれて、周りが暗くなった条件、つまり「薄暗い」という刺激が脳に伝わると、メラトニン・ホルモンが脳で増産されるようになります。すると、このメラトニンの作用によって、私たちが目覚めて活動している時に働いている「表面意識細胞」に存在するメインスイッチが切られてしまい、無意識の領域である眠りに入っていくことになります。

「表面意識細胞」というのは、「爬虫類の脳」とも呼ばれている「脳幹」にある延髄などの細胞を除いた部分で、心臓の摶動と肺の呼吸運動とに関わっている細胞群を除いた、意識・思考・知覚・感覚・体の平衡・運動などと関係する神経領域にある細胞群です。だから、メラトニン・ホルモンの作用によって、表面意識細胞のスイッチが切られて、表面意識細胞が動かなくなるというのは、眠っている状態を指しているわけです。この時、メラトニン分子は、脳神経細胞の細胞膜にある「メラトニン水溶体」分子と化学的に結合しているのです。

要するに、脳神経回路網を構成している脳神経細胞群や、体内細胞群への情報信号伝達は、これらの細胞膜に存在している情報信号受容分子との化学的結合、解離によって行なわれているのです。そして、この大きい情報信号伝達ネットワークに故障が生じていることは、細胞膜の情報信号受容分子が、何らかの変化・変質を起こしている状態です。この分子の変質を直してくれるのは、栄養素をおいてほかにないと考えれれます。

うつ病や躁うつ病、強迫症、精神分裂症、幻聴、幻視などの精神病を脳細胞の信号伝達障害という観点から、もう一度考えるべきではないでしょうか。

Eden療法と既存療法の比較

科学は全て仮説から出発します。その仮説の正しさを、観察や実験によって証明していきます。そして、証明された仮説は、すでに仮説ではなく、実際の法則や理論になります。ある治療法によって、精神病のほとんどが根本的に治らなければ、それは出発点である仮説が間違っているのではないでしょうか。

脳細胞は体細胞よりも、一段と複雑な体系です。この複雑な体系に生じた問題を、いくつかの単純な要素で説明するのは、問題を根本的に解決することはできません。複雑な体系には、それに見合った仮説や治療法が必要です。

Eden療法の処方は、この複雑な体系に適した対策です。

Eden療法の仮説

精神病に対する治療法は、次の仮説から始まります。

脳細胞に異物は入れないということは、遺伝的傾向というより、むしろ脳神経細胞における特異性栄養素の減少症にその原因があるのではないか。

脳細胞の老廃物の濃度が増加しているのに、それをすばやく分解・排出できず、老廃物が溜まったら、この状態は信号伝達の障害を引き起こすのではないか。

脳細胞には、異物分子が入っていけないようにバリアが張られているというのは、「脳血管バリア」理論に基づいたものですが、バリアが張られて、異物分子が入ったわけでもないのに、脳の運営体系に、機能的な問題が生じているとすれば、それは外部からの影響ではなく、脳細胞内部で発生したはずです。

もし、脳の機能的な障害が脳細胞内部の問題にあるなら、その原因は必須栄養素の減少と、老廃物の増加、この2つによって引き起こされた細胞内外の酸化的損傷以外、他に考えられません。

つまり、脳の機能的な障害を予防する方法は、脳細胞が必要とする必須栄養素の血中濃度と組織内濃度を高いレベルで維持することです。 

 Eden療法の精神分析観察

精神分裂症の患者さんの中には、病気が完全に治らないために、社会に復帰できない方が多いようですが、これは現実の問題です。

しかし、この問題は、精神分裂症に対する現代医学・現代薬学の観察法・治療法に、その原因があります。当然なことかもしれませんが、もし、観察法や治療法に問題があれば、それらを変えれば解決できるでしょう。また、観察法や治療法が正しければ、画期的な治療効果が期待できるのではないでしょうか。

Eden療法は、これまで科学的に明らかにされてきた脳に関する理論と、既成の精神病治療法との間に、さまざまな矛盾を見つけだしています。そして、この矛盾をふまえたうえで、Eden療法の独自的な治療法を研究してきました。

精神分裂症をはじめ、さまざまな精神病の治療にあたって、本当に重要なのは、その症状を生みだしている脳細胞に、いったいどんなことが起きているのか、何が間違っているのかということです。

1.精神分裂症とフロイトの精神分析

フロイトは、オーストリアの神経科のお医者さんですが、およそ100年前、「精神分析」という新しい概念で、精神病の原因を科学的に解明しようと努力した人で、実際に、精神分析という方法を用いて、多くの患者さんの治療を試みました。

しかし、精神分析による治療は、そんなに易しいものではありませんでした。フロイトは生涯、精神病の原因、つまり、脳の気質的、または機能的病変の原因を探しだす努力をして、将来、必ず原因の判明する日が来ると信じていましたが、精神分析という方法では、実際に効果があがらなかったということは、その方法に限界があったことを、自ら認めたでしょう。

現在から100年前のフロイトの業績を評価しようとする気はありません。フロイトの時代といえば、脳の機能的変化に対する観察が、十分にできるはずもない時代でしたし、さらに気質的な病変というものについて、人々が理解するどころか、そういったものを推測することさえ不可能な時代でだったでしょう。

もちろん、当時は現在のように、フロイトの研究課題と関連する細胞科学や、ニューロンによる情報信号伝達システム、また、生化学や脳の解剖学的知識、これらの知識をベースにした脳細胞の機能などについては、何も知らなかったでしょう。さらに、脳細胞が何を原料にして、何を作りだしているのか、何かを合成すると同時に、どんなものを、どのように分解・排出するかということについても、いかなる研究資料がなかったです。

フロイトの精神分析は、今日においても、患者さんの心理状態を把握したり、心理療法をほどこしたりする時に応用されています。

しかし、いくら患者さんの精神状況、心理状態が明らかになったとしても、その病的な精神状況、心理状態をもたらした脳細胞の物質的な環境のゆがみは、何も変化しないのです。

この脳細胞の物質的な環境を根本的に変化させるというのが、Eden療法による治療法です。

患者さんの異常な精神状況、心理状態は、細胞の物質環境に異変が起こって、情報信号伝達機能に障害が生じた結果なので、その根本的な原因である物質環境の問題点を把握した上で、問題点を解決し、それによって、信号伝達障害をとり除きさえすれば、正常な状態に回復するわけです。

細胞の立場からみれば、心理療法は物理療法であり、脳神経細胞に多少の生化学的な変化をもたらしはしますが、脳細胞が必要として必ず合成しなければならない物質の原料を供給することではないでしょう。また、老廃物の分解に必要な酵素を供給することもできないのです。

例えば、自動車のエンジンの動きをよくするためには、オクタン価の高いガソリンを使うとか、こまめに潤滑油を交換したりするのですが、こうした物質的な面を無視して、ただエンジンを動かしつづけたとしたら、エンジンは故障してしまうでしょう。

脳神経細胞も同じ原理です。

脳細胞が必要とする原料を無視して、心理療法だけ行なって病気を治そうとする現代医学の方法は、病気を悪化させる可能性があります。

細胞に必要な物質面を考えずに、脳細胞を使うように強要するのが心理療法ではないでしょうか。ひどい躁うつ病や精神分裂症の患者さんに、長期間にわたる心理療法をほどこしたとすると、その患者さんの脳細胞は、おそらく潤滑油の与えられないエンジンと同じように調子が悪くなる恐れがあります。

心理療法には、100年前のフロイトの考え方であり、限界があります。今、この限界を乗り越えなければなりません。

フロイトの時代にはなかったさまざまな科学的な成果が存在しているので、それらの理論を応用すると、限界は乗り越えることができます。つまり、それがEden療法なのです。

現在、機能的な精神病の大部分と、脳神経障害症候群、うつ病、躁うつ病、パニック障害、強迫症、社会恐怖、児童の過剰運動症、勉強障害、自閉症といった病気を、合理的で自然な方法を用いて、根本的に治療する技術が開発されています。

2.脳細胞及び神経細胞の信号伝達機能

脳細胞や神経系細胞の主な機能は色んな信号を伝達することです。脳細胞と脳細胞、または脳細胞と自律神経細胞、末梢のセンス細胞の間でお互いに信号を伝達し、受け付けて処理することは間違いない事実です。

20世紀後半から、多くの科学者はこのような信号伝達方式、またその信号伝達を邪魔するものに対して、細胞科学的な面にだいぶ明らかにしました。その発見を基にした分子生物学も遺伝子まで再組み合わせることができました。

脳神経細胞とすべての細胞は、細胞膜のスイッチを通じて一次的に信号を取り交わして、その信号はすぐ該当細胞内へ伝達して、生命維持に必要な蛋白質を合成、分解します。ところで、神経回路網は一つのネットワークなので、その中にただ一つの細胞が故障しても、その回路網全体が連鎖影響を受けるようになっています。

だから、神経系の信号伝逹機能を正常に回復させるためには、非正常的に変わった脳細胞と神経細胞から元気な状態で戻さなければならないでしょう。身体を構成している他の細胞と同じように、脳細胞を含んだ神経細胞も、細胞の分子的なバランスが維持される時、その機能をしますが、ここに使われるのが栄養素です。それは、細胞内の分子的なバランスを成すために必要な物は栄養素だけだからです。

3.Eden療法的な治療

我々は鬱病や躁うつ病、強迫症、精神分裂症、幻聴、幻視などの精神病気を脳細胞の信号伝達障害という点からもう一度考えて見なければなりません。

全ての科学の発展は仮説から出発します。

仮説から出発して、その仮説が正しいかどうか、色んな実験を通じて証明しようとすのではないでしょうか。その仮説も、理論的に正しいのか検定し、仮説を立証しようと努力しなければならないでしょう。

ところで、原因治療において、フロイトの精神分析の接近や現代の薬物療法は仮説も論理的な根拠がないようです。だから、実際にその治療効果がないかもしれません。

脳細胞や体は、単一体系ではありません。みんな有機的に結合された複雑系です。複雑系に問題が発生したことを、単一要素一つに変更を与えて、その問題を解決しようとすることは接近方法から間違っています。複雑系は複雑系に合う方法を要求します。複雑系である脳神経回路網に要求しているのを広く含むのがEden療法です。

Eden療法の成功治療は次の仮説から始まりました。

.脳細胞には異物が簡単に入らないとしたら、脳細胞の機能的な異常は遺伝的な    傾向より、栄養素の減少症にあるのではないか。

.ストレスによって、脳細胞に疲れ物質の濃度が増加して、それがすぐ分解、排    出できなくて、老廃物が積もればどうなるか。また、その老廃物は脳細胞の間    に信号伝達を邪魔しているのではないか。

.脳細胞は他の器官と違って、独立的なエネルギー原を使い、免疫体系を持って、独立的な代謝機能をしています。この独立体系の維持に使われる栄養素は主にどのようなものか、これによってもっと多く要求される栄養素があるのではないか。

この三つの仮説から、脳細胞が一つの複雑界として必要とするのは何かということを考えました。それから機能的な精神疾患は脳細胞に特異性必須栄養素の減少症が原因だと判断し、各精神疾患に適用したら、驚くほど効果がありました。

  Eden療法的な精神分裂症の治療

精神分裂症Eden療法的な治療は次のようです。

1.医者さんの診断の上、既存の症状緩和剤を投与します。コントロールができない場合は、しばらく入院治療します。退院後、家で療養する時は27番の事項に従います。

2.個人の基礎体力と現在の健康状態に合わせて、特に脳細胞特異性の栄養素を中  心にバランスよく投与します。それぞれの体重、飲酒、喫煙、ストレス環境、  運動有無、体質的な問題点、他の疾患の有無、食餌習慣などを考えて栄養処方  をしてもらいます。

3.患者さんがある程度回復して「マインドコントロール」ができる状態になった  ら家族や周りの方の協力と共に生活習慣の変化を誘導します。生活習慣は思考  と行動に分けて施行します。「自己暗示」などの心理的な方法が効果的です。  この段階では患者さんに思考の習慣について十分に理解させて訓練するように  します。

4.状態の回復によって症状緩和剤をだんだん減らしていきます。

5.Eden療法の栄養処方も約1-2ヶ月服用してから止めます。

6.完全に回復した後、自分に必要な栄養剤を2-3種くらい服用します。

7.再発を防ぐため、過労とストレスが強くなった時には栄養剤の量を増やして十分に休むようにします。

最後の段階として患者さんに脳神経細胞も無理して使うと問題が起こるという事実を納得させて病気に予防できるようにします。「事前徴候」が現れたらすぐ栄養を供給して休むことを頼みます。

事前徴候にはそれぞれの違いがありますが、過労した後疲れがひどくなったり、何日間続いて不眠で苦しんだり、唇の乾燥感や口内炎などが発生したりする症状がよく見られます。また意欲が落ちたり、色々な考えが次々と浮かんだりして、体質的にある症状がよく発生する恐れがあります。

上の現状は脳神経細胞が突然異常病勢を起こるのではなく、末梢、自律神経体系と関連ある細胞集団の異常が先に起こった後、脳神経に異常が生ずるからです。このような徴候は人それぞれ違いますが、ほとんど「栄養素減少症」と関係があります。        

お勧めのEden療法

家族

1.保護者は患者さんの状態をできるだけ理解し、最高の薬は患者さんに対する深  い愛だということを肝に銘じなければなりません。

2.患者さんが理にあわない主張をしても、無視しないで患者さんの主張が当たる  と認めてあげることが大切です。患者さんに私利に当たる言行を言うように強  要するとか、患者さんを非人格的に対することは禁物です。

患者さんへ

1.今までの不規則的な生活習慣を変えましょう。

  それが大変なら、自己暗示的な文字を書いて(これから

  私はどんな生活をするかなど、具体的な内容)壁に付けて、

  毎朝と夜、二回声を出して読みましょう。

2.ビタミンB複合剤を、毎日2-3回、4-6錠、服用しましょう。

  また、ミネラルを含んだ複合ビタミン剤も、通常の2倍ほど服用する

  ことを勧めます。ビタミンB複合剤は「神経ビタミン」とも呼ばれて

  いますが、これはビタミンB群が、神経細胞によって24時間休む

  ことなく消費されているのに、体内では形成されないからです。

  日に3回、私たちが食事するのは、この神経ビタミンを約6時間ごとに

  体内に供給するためだとも言えます。

3.ジョギング、縄跳びなど、1日に5分以上、休み時間を利用して、

  少し喘ぐ酸素運動をしましょう。

4.肉類は、できるだけ避けましょう。

5.疲れを感じた時は、ビタミンB複合剤を2-3錠飲んで、

  ゆっくり休みましょう。

6.標準体重は維持しましょう。

7.お酒とたばこは控えましょう。(自己暗示方法の利用)

8.加工食品類は禁物、また偏食しないようにしましょう。

9.なるべく玄米食に切り替えましょう。

10.むやみに漢方薬や健康食品をとることはやめましょう。

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